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建築ガイド
建築保存物語
建築保存物語(10) 東京中央郵便局(1931年 東京都千代田区)-1-

写真と文 兼松紘一郎

「やるっきゃないね!」

 日本のモダニズム建築の到達点といわれた大阪中央郵便局庁舎に至る過程の「東京中央郵便局」庁舎は、郵便物の集配所や1階に窓口を設け、オフィス機能を持った複合施設である。上部にはその時代の建築様式の一つ胴蛇腹を設けて意匠を引き締めるなど、魅力に満ち溢れている。この二つの庁舎を設計したのは、逓信省営繕課の技師吉田鉄郎である。吉田は東京駅やレンガによる建築群の中にあって白いタイルを貼り、新時代の到来をも見据えた。だが吉田が腐心した外壁正面左側から曲がる壁面の角度やタイルの大半が改修によって変わり、内部空間が原形をほとんど留めないなどの様々な問題を孕んで、その外壁の背後に超高層を従えて建っている。

 14年前、改築検討をしているという信憑性のある風評が流れ、JIA保存問題委員長だった僕は委員会で論議し、郵政大臣に保存を、文部大臣には登録文化財への登録を検討してほしい旨要望書を提出した。これが後に大きく広がったこの庁舎保存運動のスタートになった。

 その後郵政民営化問題と絡んで建て替えが表明され、建築学会、JIA、ドコモモ ジャパンが連携し、2006年5月、関係部署に各会から保存要望書を提出した。そこに関わった僕は2007年に東大工学部一号館階段教室で行われた建築史学会のシンポジウムで、郵政のOBで建築学会総務理事を務める芝浦工大南一誠教授に声を掛けられる。東京中郵の保存を改めて考えて欲しいと。そして思案する。建築の専門家だけでなく市民や政治家と連携したほうがいいかもしれない。腹を決め保存活動を一緒にやってきた多児貞子さんに電話をした。「やるっきゃないね!」。何度か準備会を行い「東京中央郵便局を重要文化財にする会(重文の会)」を設立した。

 旧東方文化学院などの保存活動を共にした河村たかし衆議院議員(当時は民主党・現名古屋市長)に情報提供をし、河村議員は平沢勝栄議員(自民党)と連帯して超党派の170名に及ぶ議員の賛同を得、重文の会設立に先立つ2007年6月6日、「東京中央郵便局庁舎を国指定の重要文化財にし、首都東京の顔として将来世代のために、永く保存・活用を進める国会議員の会」を立ち上げた。「重文の会」は議員の会と緩やかな連携をして情報を交換する。議員への講義を頼まれた僕は、鈴木博之東大教授に声をかけて二人でこの庁舎についての解説をしたこともあった。 <以下次号>

搬入ロ
搬入ロ
見上げる階段室
見上げる階段室
東京中郵(2003.03.24)
東京中郵(2003.03.24)
2012年4月の中郵
2012年4月の中郵

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