コラム

2020.07.06

Vol. 39「曖昧な空間(境界線のない世界)」

 日本人は曖昧でYES、NOがはっきりしていない人種と言われます。相手と協調性のある行動が誤解を生む事もありますが、相手にうつさない為にマスクを着用する事がすんなり実行できる優しい国民だと感じます。

 建築空間に置き換えると、欧州の擁壁のような壁と窓、切り分けられた室内空間に比べ、日本には縁側、土間、障子、ハッキリと境界線を作らない世界がありました。

 スペインのパティオのように、住民しか入れない空間が建物中央部に位置するのに対し、長屋、路地空間、外とも内とも言えない、通路上の共同生活空間が存在していました。

 日本には、自然と共存するという思想に根付き、自分を守るものは壁ではなく、人や自然との距離を上手く活用してきたのではないでしょうか。  コロナ禍により、人との接触を避ける為、個室に閉じこもりがちだと、精神的に参ってしまいます。ソーシャルディスタンスを保ち、コミュニケーションを阻害しない、日本文化の持つ外部と内部の曖昧な空間について考えてみませんか。

記:中澤 克秀

 

 


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