年々酷くなるスーパー台風やゲリラ豪雨、猛暑などの気候危機は、地球温暖化が原因です。EUには、CO2を排出しない再生可能エネルギーの発電で、すでに50%以上を賄う国がある一方、日本は約8割を化石燃料の火力発電に頼り、再エネ発電はまだ18%程度。日本のエネルギー政策は大きく立ち遅れています。
一方「住宅」の温暖化対策として、日本政府はZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)を推進しています。ZEHは「外皮の断熱性能を向上させて高効率な設備システムを導入し、室内環境の質を維持しながら大幅な省エネを実現。再エネを導入して、年間一次エネルギー消費量の収支がゼロとなる住宅」のこと。2020年に新築住宅の半分を目標にしていましたが、実際には20%程度とやや普及は遅れ気味です。
断熱性能の基準が低めで、気密性能の規制がないなど、ZEHにはいくつか課題はあるものの、気候危機が切迫してきたいま、これが住宅の最低基準になるのは時間の問題。来年4月から住宅の省エネ基準に関する説明義務化も始まります。建築家、そして新築住宅に関わる全ての専門家は、ZEHを標準的な住宅性能と捉え、設計に取り組む時代に入ったのかもしれません。
記: 湯浅 剛
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