コラムを始めました
日が長くなり、心地よい天気が続いているここ数日、交通量の少ない住宅地の路地では、平日の日没までの一時を若い父親が息子とキャッチボールをしている。道を一本曲がれば、ここでも若い父親が幼い女の子に自転車の乗り方を教えている。おそらく家では夕食の準備が進んでいるのだろう。ここ何十年このような風景を目にした記憶はない。暗渠化された小河川の緑道も平日は人通りが殆ど無く閑散としていたが、孫とおぼしき若者が祖母の手を引き運動を促し、犬の散歩や家族連れで行政が画く完成予想図のような程よい賑わいが生じている。
残念ながら働き方改革やテレワークが一般化して成し得た微笑ましい風景ではない。言うまでもなく新型コロナウイルスによる非常事態宣言で生じている風景だ。こんなに長く家族と一緒に過す時間を持ったことはいまだかつてなかったし一日中家族が揃い、在宅での勤務を強いられる暮らしは特に都市部の住宅において様々な歪みが白日の下に晒されました。
世界中を襲った新型コロナウイルスという大災害が収束した後、我々の暮らしや住まい、そして環境に対する意識や価値観は変わるのでしょうか。住宅の設計に携わっている建築家達がそれぞれの視点で語ります。
記:郡山 毅