報 告
JIAアーバントリップ100回記念シンポジウムは、何と1990年から34年間で今日まで101回の見学会を行ったとのことである。私は新参者なのでこの企画があることすら知らなかった。前回が香山壽夫先生の建築作品を巡る企画だったことを後で知り残念至極だった。そうしたら今回は100回記念シンポジウムがあるというので参加した。
最初に大川さんがこの企画についての歩みを振り返って説明してくれた。見学会は雑誌の写真や説明では分からない現場の生の声が聞ける。現場に出かけていって建築を取り巻く環境を肌で感じる。いわゆる巨匠シリーズでは日頃接することができない建築家から直接建築作品を見ながら解説をいただけるのもありがたい。建築家の自邸や大使館などの日頃見ることができない建築にも触れることができた。新技術を取り入れた建築の見学は、建築技術者にとってはありがたい。最近は、一般の方々も建築に対する興味も深くなってきたので、建築に関心のある方々と一緒に建築を見学できる機会もつくりたいと考えている。
ゲストパネラーでは、4名の先生を迎えてそれぞれアーバントリップについてのお考えを述べていただき、その後クロストークを行った。
千葉学さんは3回この企画に関わった。
建築は見ないと分からないが、そのオーラルヒストリーが聴けるとなお理解が深まる。4つの事例を紹介したが、その中で「父の家」はコロナ禍の時期だったので、映画監督石山友美さん(建築家石山修武氏の娘さん)にオンライン配信用の建物紹介映像の制作をお願いした。
押野見邦英さんは、これまで設計者として、参加者として2度ほどこの企画に参加した。リアルに建築を見ることで、そのキャラクターを知覚できる。全体を取り巻く雰囲気を感じることや「神は細部に宿る」というようにディテールが大切だと。建築家は、建築を見ることで創作デザインが刺激されると。
左:洗足学園音楽大学 右:木造庇ディテール
磯達雄さん(建築ジャーナリスト)は2016年から東京アクセスポイントを設立し建築ツアーを企画している。情報誌LIXIL eyeという広報誌で盛岡市や宇都宮市など地方都市の建築ポイントを紹介している
(LIXIL ビジネス情報 | 情報誌LIXIL eye)日本や世界の各都市では建物の見学案内に力を入れている。品川区建物公開イベント、静岡市建築ガイドツアー、ロンドンオープンアーキティチャー、シカゴアーキテクトセンターなど。一つの建築を見るだけではなく、周りの環境、地域を見ることが大切だ。
佐藤尚巳会長は、実際に建物を体験しないと分からないという事例に、フランク・ロイド・ライトの落水荘を紹介してくれた。玄関の踏み込みが一段低くなっているので気づかないが、落水荘の居間の天井はかなり低い。これも現地に踏み込んでの見学でないとなかなか分からない。また、フランク・O・ゲーリーのビルバオのグッゲンハイム美術館は素晴らしい。
落水荘リビング(筆者撮影)
クロストークでは、南さんの進行で、見ることの大切さ、世の中に伝えていくこと、JIAの役割、建築家の学びになる、日本における建築の位置、領域横断などのテーマで講師の意見を拝聴した。シカゴではアーキテクチャーセンターに行けば毎日市内の建築見学ツアーに参加できるとのこと。素晴らしい!
懇親会は立食式でいろんな方と交流できた。建築家とジャズシンガーの二足の草鞋を履く小髙由紀子さんのピアノ伴奏での歌声は迫力があった。佐藤尚巳会長のリズムに乗ったサックスは流石だ。建築家は皆さん二刀流なんだね。
ピアノ:吉川祐介さん 歌:小髙由紀子さん サックス:佐藤尚巳さん
成岡 茂(成岡建築設計・技術士事務所)
概 要
「建築見学会の魅力と可能性」
ーアーバントリップのこれまでとこれからについて考えるー
「アートを鑑賞するように建築を巡ろう」などとの言葉がWeb上や雑誌上にあがるように、一般の方々の建築鑑賞への関心が高まってきているように感じます。
大阪や東京、京都などで開催される建築フェスには多くの人が訪れ、人気建築家の作品が観光資源としても認知され、地方の地域振興やまちおこしを目的に開催される建築見学会も多く見受けられます。
さて、私たち 日本建築家協会 関東甲信越支部 アーバントリップ実行委員会では、1990年より、建築見学会:「JIAアーバントリップ」を開催し、皆様のご厚意、ご支持のもと、おかげさまで、本年、記念すべき100回を迎えました。そこで、100回記念イベントとして、建築見学会のあり方や果たすべき役割などをテーマにシンポジウムを開催することにいたしました。建築ジャーナリストや建築家が多様な立場から多角的な討論をおこない、あわせてご参加の皆様からも忌憚のないご意見やご感想などをうかがい、アーバントリップを含む建築見学会について掘り下げていきたいと思います。
また、あわせて懇親会も設けており、パネリストや参加者相互の親交を深めるとともに、これまでのアーバントリップのエピソードに触れ、思い出などにも浸り、なごやかな時間をこころゆくまでお楽しみください。
私ども アーバントリップ実行委員会では、今後、この場での議論やご意見を参考にさせていただき、「JIAアーバントリップ」の向上に努めていきたいと考えています。ご支援、ご愛顧をどうぞよろしくお願いいたします。
ゲストパネラー
左より
磯 達雄 (いそ たつお) 建築ジャーナリスト
押野見 邦英 (おしのみ くにひで) 建築家 k/o design studio 主宰
佐藤 尚巳 (さとう なおみ) 建築家 日本建築家協会会長
千葉 学 (ちば まなぶ) 建築家 東京大学大学院教授
詳細情報
- 開催日
- 2024年11月14日(木)
- 時 間
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開場・受付 17:00
シンポジウム 17:30~19:10
懇親会 19:25~20:45 (予定) - 会 場
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建築家会館 1階 大ホール
東京都渋谷区神宮前2-3-16
- 交通案内
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東京メトロ銀座線外苑前駅3番出口より徒歩約8分
- 講 師
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磯 達雄 (建築ジャーナリスト)
押野見 邦英 (建築家 k/o design studio 主宰)
佐藤 尚巳 (建築家 日本建築家協会会長)
千葉 学 (建築家 東京大学大学院教授)
- 参加対象者
- 会員・賛助会員・一般・学生
- 参加費
-
シンポジウム:無料
懇親会:2,000円 - 定 員
- 100名(原則先着順、定員に達し次第締め切り)
- CPD
- 2単位
- 問合せ先
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公益社団法人 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部
事務局(委員長:芝本敏彦 宛) urbantrip@jia.or.jp
- 申込方法
-
参加希望の方は、下記Google フォームよりお申込み願います。
(原則先着順、定員に達し次第締切。)
https://forms.gle/PGkNACoYxwBUfxMb9
*懇親会キャンセルの場合には、ご連絡をお願いいたします。
■注意事項
・イベント中は、委員および案内者の指示に従うようお願いいたします。
・体調のすぐれない方は参加をご遠慮ください。
・参加当日、体温を検温させていただく場合があります。
・WEB、SNS等への掲載、投稿などについては、ご配慮の上、ご対応ください。。
<個人情報の扱いについて>
・個人情報保護法の施行に当たり、日本建築家協会(JIA)は法律に則って、個人情報を保護します。
・個人情報を利用目的以外に使用しません。
・参加者の個人情報は委託者を除く第三者に提供しません。
・参加者名簿(お名前・所属先・役職)は協賛企業各社に提供、当委員会と共有いたします。
・本イベントの模様はyoutubeなどに、記録として公開する予定です。やむなくお顔、お姿などが写る場合があります。あらかじめご了承をお願いいたします。 - 主 催
- 公益社団法人 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部アーバントリップ実行委員会
- 後 援
- 協力:(株)新国際通信社
- 協 賛
- 旭ビルウォール(株)、(株)イケガミ、三協立山(株)、(株)東京工営、(株)ユニオン