支部長あいさつ

  JIAはこれまで多くの活動を通じて社会に貢献し、同時に建築家の地位向上に努めてきました。現在は、環境問題に対応する建築のありようやSDGsへの取り組み、社会資源を大切にすることなど、社会に対して声を上げ続ける存在であるべき建築家の責任はますます重要になっています。

 建築家の業務環境関連では、適切な設計者選定、適正な業務報酬、設計契約の公平性、業務の多様化やさまざまな発注方式、設計環境のIT化なども諸官庁とも協力しながら具体的に取り組まなければなりません。また、JIA創成期からの目標である建築家資格制度の実施、新規入会員の増強や建築家を志望する学生の減少に対する取り組みも必要です。

 これらの厳しい環境を認識し、JIA建築家がより社会に貢献できるよう、2023年度の活動計画を以下に掲げました。


活動計画

1.JIA活動の活性化と社会への発信の推進
依頼者が設計の専門家(建築家)に安心して仕事を任せられるよう、建築家の役割や存在価値を社会に発信します。
①建築家資格制度の検討
②まちづくり、保存、災害対策、環境など社会公益活動
③若手・学生会員のフォローと活性化
④多彩な手段による広報

2. 建築家の職能及び資質の向上の推進
建築家が能力を十分に発揮できる環境をつくり、職能の確立を目指します。
① 業務環境の改善(設計契約、報酬、著作権、ワークライフバランスなど)
②知的生産者の公共調達の法改正への取り組み
③設計者選定や仕様書作成等の発注者支援
④建築家賠償保険加入の促進

3. 建築家が社会貢献しやすい組織づくりの推進
会員が共に研鑽し、交流する場を整え、活動の活性化と継続化を図ります。
①委員長会議・地域サミットの合同会議などの実施
②法人協力会員主催のセミナーの開催
③公益法人としての財務体制の強化
④JIA建築家データベース(仮称)の構築

 具体的な取り組み

・ 登録建築家制度について本部理事会で一定の考え方が示されました。
5月の支部会員集会は「資格制度のこれから」をテーマに開催し当日は熱い議論がくりひろげられました。
しかし、現在登録建築家に正会員の40%足らずしか登録しておらず、この制度への関心や興味が薄れていると感じています。そのためにも集会など話し合う機会を多く設け、資格制度の議論を活発にしていきます。
・ 昨年理事会で会員に対する懲戒処分の決定がありました。
会員個人の不適切な行為は許すべきではありませんが、長期にわたり問題が露見しなかったことは、本部、支部、地域会、委員会の動きや伝達などがスムーズでなかったことも一因だったと反省しています。この問題を契機に各地域会、委員会と活動や役割、各会員が守らなければならないことなどを明確にして、会員の主体性を大事にしながら社会から信頼される組織を築いていきます。
・ 昨年いくつかの地域会から直接ご意見を聞く機会がありました。
オンラインにより活動が活発になっている一方、一部の会員への負担の偏り、新会員や若手会員の参加の少なさなど、地域会内で悩まれている様子を伺いました。本部で現在取り組んでいる(仮称)エキスパートインデックスは全国のJIA会員の情報や活動を瞬時に知ることができ、会員間の交流の活性化に繋がるものとなります。これが地域会の悩みの解決の一助になるようこの仕組みの推進を図ります。
・ コロナ禍も落ち着き、JIAの活動も元に戻りつつあります。
5月に法人協力会員と正会員との勉強会を実施しました。告知が直前にもかかわらず、六鹿前会長のレクチャーに多くの会員が参加しました。メンバーが固定化しない工夫、気軽に参加できる雰囲気づくりを念頭に、このような取り組みを多く設け、さまざまな交流する機会を増やしたいと考えています。
・ JIAはいったい何をしている団体なのか?各地域会や個人の活動だけでなく、JIAが全国統一の組織としての取り組みや課題など、もっと共有すべきと思っています。支部の機関誌『Bulletin』でJIAが何をしているのかわかりやすく広報していきます。

 JIAは利益団体でなく、倫理規定、行動規範を遵守する自立した会員の参加によって成り立っている公益社団法人であること。また会員の自主性、性善説を基本とすることを重んじ、今年度も支部運営を執行していく所存です。皆さまのご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。

関東甲信越支部
支部長 渡邉太海

日本建築家協会
関東甲信越支部長
渡邉 太海

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