■神奈川地域会(代表:小泉雅生)
今年度の神奈川地域会では、飯田善彦氏より代表を引き継ぎ、新たに「サステナビリティを考える」をテーマに掲げ、活動を行ってきました。これまで同様、研究会やイベントが中心となりました。
研究会活動は、持続可能な公共施設のあり方を探るという観点から、今後各地で建替えがすすめられる学校建築に焦点を絞ることとしました。講師として千葉工業大学の倉斗綾子氏、国立教育政策研究所の森政之氏を招き、行政、教育関係者も交え、2回にわたって、これからの学校建築に関わる多角的な議論を行いました。
イベントに関しては、まず、10月に行われた建築フォーラムにて、「建築から環境へ-サステナブルで豊かな暮らしに向けて」と題し、建築における省エネ義務化を見据えたシンポジウムと展示を行いました。会場は象の鼻テラスとして、トークショーやミニコンサートをはさみ、一般の来場者も気軽に参加できるイベントとしました。あわせて、既存資源の維持・活用という観点から、旧根岸競馬場の見学会およびシンポジウムをNPO法人歴史的建造物とまちづくりの会と共催して行いました。
2月の建築祭では、馬車道駅コンコースにおける展示に加え、「建築から環境へ-環境デザインの課題と可能性」「村野藤吾-横浜市庁舎の価値と可能性」と題した二つのシンポジウムを行いました。特に市庁舎に関わるシンポジウムは一般の方も多く詰めかけ、メディアにも取り上げられ、関心の高さがうかがえました。シンポジウムと連動して、京都工芸繊維大学松隈研究室の協力のもと、村野藤吾作品の写真展を開催いたしました。また、デザインアワードでは野沢正光氏、卒業設計コンクールは木下庸子氏を審査委員長に迎え、駅コンコースにて展示、審査を行いました。ほか、茶室コンペ、近代建築まち歩きも、昨年同様に実施しました。
なお、これらのイベントの開催にあたっては、建築フォーラムでは(一財)神奈川建築安全協会からの助成、建築祭のシンポジウムでの横浜市建築局との共催、卒業設計コンクールでの総合資格学院からの協賛といった種々のサポートを得ながら、すすめることができました。
他の社会活動として、横浜市の関内駅周辺地区エリアコンセプトブックに対するパブリックコメントとして現庁舎建築の保存活用についての要望の提出、子どもたちが楽しく建築を学ぶことのできる子ども空間ワークショップの開催などにも取り組みました。
最後に、組織運営上のサステナビリティも課題ですが、活動資金面では、年間活動テーマを早めに定め、フォーラムと建築祭を一本化して協賛を募り、助成にも積極的に応募するといった策を講じ、一定の成果を納められました。事務作業等の効率化、マニュアル化にも着手していますが、まだ道半ばというところです。
これからもイベントなど積極的な活動を展開するとともに、その活動を維持するための体制を整えることにも注力していきたいと思います。