1.はじめに
 私達の暮らしの中で「塗料」はあまり見かけない、馴染みの少ないものです。しかし表面コーティングを施されたものは数多くあり生活の中で欠かせないものとなっています。自動車をはじめ電化製品、家具、楽器、革製品そして箸や鉛筆、紙にまでもコーティングされており、私たちはそれらを当たり前のように見たり使ったりしているわけです。もしそれらがコーティングされていなかったらどうでしょう。板金のままの自動車、鉄板むきだしの冷蔵庫、製材したままの家具、ザラザラの紙・・・・。見た目も悪く、使いにくそうです。「塗料」自体はあまり意識されないものですが、人の「心と暮らしを豊かにする」という重要な役割を持っています。
 しかしながら、「塗料」は一般にはそれ自体なんの価値もないものであり、塗られてはじめて評価され、乾燥してはじめて役割を発揮します。しかしその価値は、塗膜としてではなく塗られたもの(テーブル、イス等)の価値として評価され、いわば「縁の下の力持ち」的な存在なのです。したがって、いくら性能の良い塗料を開発したとしてもそれが被塗物にうまく塗れて、きれいに仕上がらないと「塗料」としての価値はゼロに等しいといえます。
 わたしたちが何気なく暮らしている中で「塗料」は様々な研究、検討がなされ、人にそして社会に貢献できるものを目指しています。しかし、その間にも環境問題は徐々にわたしたちの身近な生活環境にまでも迫ってきています。わたしたちはすべての「もの」について性能や利便性そして価格(利益)だけでなく安全性や環境に対してもう一度見直す必要があるのではないでしょうか。メーカーはお客様の要望にお応えする使命があります。そしてそれと同時に、今後の方向性を提案していく責任もあります。しかし「塗料」は正しい塗料選定と正しい使い方をされなければ何の意味もありません。少数の人々またはメーカーだけが環境問題に対して取り組んでも解決するものではありません。作る人も使う人も正しい知識の基に取り組んでいかなくてはなりません。
 和信化学では早くから環境問題に着手し、水性塗料の開発を行ってきましたが今回、環境対応型水系塗料「アクレックス」をご提案致します。