大きなスケールで出来た都市では、周りの距離感や場所を把握することが難しく、自分が今どこの場所にいるのかという感覚を失うことがある。また、ビルの内部にいる時にも同様に距離感を失い、自分が何階にいるのかが分からなくなり場所の把握が出来ていないと感じることがある。公共の場で自分の居場所を確認出来ず不安を抱く人も多いのではないだろうか。
しかし、大きな都市全体は街という場所の集合よって出来ており、街は個々の小さな場によって、場は人の居場所的な空間から出来ている。居場所を把握することや、場を感じることにより全体における位置を把握することが出来る。このように身近な空間から都市全体を把握出来るのではないだろうか。
1、現代の都市における距離感と場所の把握について考察する。2、街の距離感と場所について考察する(街とデパートの関係から)。3、人のスケールに近い距離感と場所について考察する。1→2→3〈東京→街(新宿、渋谷、銀座のデパート)→場所(人の知覚)〉の順にスケールダウンして距離感と場所について人に近い部分から考えていく。
以上のように、身近な物のスケールから都市を構成する場の種類、人同士の距離感、人が快適だと感じる場と距離の感覚について考察し、人のスケールに合わない都会の公共空間において人の目線の高さ、ヒューマンスケールを大切にし、人に近いスケールから建物を組み立て、設計する。
また、デザインで新たな距離感を生み出し、場所や距離感を感じられるような仕掛けをし、人が快適と感じる空間を作り出すことを目的とする。
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