例えば、あるかたちがあって、それらの接続関係、位置関係の操作だけで多様な空間がつくれればいいと思う。建築はかたちとそれらの位置関係だけで大きく異なる質をもつ、そういったあたりまえのようなことをできるだけ単純な状態で考えようとした。私は空間同士の位相に着目することで、建築の質を決める容器的性格からひとつの設計手法を捉えようとした。
本研究ではそのようなことを、都市空間と建築との関係において試みている。ここでは、都市空間全域に渡った空間の予測ではなく、生成過程に着目した。都市空間は独立した建設行為によって連続的に形作られ、個別散在的に展開されている。都市とは多様な活動の集積だけど、周辺環境と関係をもたない単独の建設行為や、ただの空地にしかみえない公開空地をつくるのではなく、さまざまなスケールのスペースをどのように展開できるか、生成過程として考えた。
都市建築の“図と地”の関係から導いた「変位」「反転」「重合」といったカテゴリーは図形相互の位置、つながり方などを連続的に変形させて形をつくるものである。このような図形の位相幾何学的性質に着目した建築を段階的に築くことで、多様な都市・建築の在り方への設計手法の提案をしている。
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