プロポーションやスケール、あるいは用途に基づく独自の空間構成などが類似する建築が集り建てられることで、特定の性質が生まれた地域がある。また、単位となる建築同士の関係や全体としての集まり方の違いにより、周辺の環境や他の地域と異なる性格が生じているといえる。
こうした前提のもと、この計画では、スタジアムという特定の都市要素が集まる神宮外苑付近(以下、外苑)
を敷地として取り上げ、建築的な手法を用いて、スタジアムが集まることによってつくられる都市のオープンスペースの設計を行う。
外苑には、国立競技場をはじめとする5つのスタジアムが、JR総武線と青山通りに挟まれた場所に連続的に立地しており、都心部の他の地域にはみられない特徴的な都市空間が形成されている。そのスタジアムは外形が円形で、その周囲に環状空間を形成しており、多様な都市動線を生む可能性をもつ。しかし実際には、スタジアム間の空間では、スタジアムが集まっていることが空間的、動線的に活かされていない。そこで、スタジアム間の動線に各スタジアムごとに特徴を与え、公共的な用途をもつ建築やランドスケープを計画することで、独立したスタジアム同士を連続的に結ぶ。このことにより、表参道や新宿などの近隣地域との関係が強まり、断絶した地域同士が緩やかに結ばれてゆくだろう。
|