本修士設計では、空間の無限の広がりや仮想の境界面をつくり出すことの出来るパースペクティブに着目し、多様な空間構成から、曖昧な「空間」と人間の持つ錯視の可能性とを追及することによって、これまでにない空間を創り出すことを目的とする。生活空間において、普段何気なく通る道や空間には、真っ直ぐな道や曲がった道など様々な形状があるが、空間における通路との関わりの形態を、平行型・遠近法型・逆遠近法型の三つに分類した。日常生活で樹木が連続していることで、その樹木が並木の外部を遮断し仮想境界面を生み、「道」を意識するだけではなく、内と外とを意識することがある。その現象をもとに、空間モデルを作成し、平行型・遠近法型・逆遠近法型に属する9パターンのモデルから空間構成を行った。更に、モデルを3次元的に変形することによって無限の組み合わせが生まれる。本設計では、これらのモデルを、銀座の一区画に入れ込み、街並み全体から、ショップ、オフィス、ギャラリーなどの複合施設を設計した。
与えられた空間に遠近法型と逆遠近法型を相互に配置することによって、それらの境界面に生まれる空間に、建築と人間、環境に生き生きとした刺激を与え、様々なパースペクティブによる空間の変容を提案した。
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