都市を楽しく歩くということ。建築を学ぶことはそれを実現することにつながる。
しかし、楽しいとはどういうことなのだろうか。この計画を通してそれを解いてみる。
日本の都市空間には入り組んだ街区が作り出す路地や建物の背面が作り出すヴォイドが多数存在している。それは都心部の街区中心部に位置することが多い。街路に依存した建築物はそういった環境を作り出した。それは非合理的である一方、一時期騒がれた「裏」としての魅力を持っている。一見、用途が見出しにくい空間を活用しつつ、裏空間の人々を惹きつける状態を保存してしまうというのが本計画である。
利用価値が低いと考えられていた空間を他の空間と同等に扱える状態にまで押し上げ新たに形成する空間との対比により、人々が活用する。それは都市のどこからでもアクティビティが発生する可能性を示し、既存の建築物たちが様々なポテンシャルを秘めているという結論につながっていく。都市を歩くとき、思わぬ風景や各個人の発見的空間に出会うことは楽しい。誰もがそういった風景をストックしながら歩いている。
それらを実現するために境界操作という建築的手法を提案する。境界操作は、新築、改修、修復、解体などの分類に左右されない。そこにある空間を絶対的に評価し、その都市空間において最も適していると考えられる建築的操作を施すことができる。その結果、都市はゼロに返ることはなく永続的に変化、成長していく。
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