空間を考える上での問題として、空間がある形式という全体を前提としていたり、また、そこでの活動内容(機能)によって根拠づけられているということがある。こういった手法は、ある空間とある機能に強い関係を持たせることで「〜するため」の空間として成立している。それは合理的で機能的な空間を作る上で適切な方法であると言えるかもしれない。だが、それによって起こったことには、その空間がある目的のためだけに使われてしまうということがある。つまり空間同士の関係性、そしてそれを使う私たちの行動に拘束が生じてしまう。現在のように空間の用途が複合的で曖昧なものとなっているような中ではこのような方法が必ずしも有効であるとは言えないのではないか。
本計画では、空間を形式や機能というような前提によって根拠づけてしまうのではなく、全体を作る断片である空間同士の接続方法や隣接関係を再考することで、常に空間同士が互いに影響し合いながら成り立っているような空間の状態となることを目的とする。その方法として、私たちが普段生活する都市空間と建築の空間の差異に着眼し、私たちの生活の中で当たり前のように起きている異なる空間と空間が重なり合っているということが、次の空間への自由な接続を可能にしているという現状を、建築の空間において空間同士が互いの空間を干渉し合っている状態として応用することで表出する新たな空間の可能性を提示する。
|