私の家の近くにある永山団地は、多摩ニュータウンで最も初期に大規模に建設された公共集合住宅である。
建設から33年が経過した今、エレベータが設けられていない5階建階段室型住棟を中心として、経年による老朽化や機能の陳腐化、居住者層の高齢化に伴い、空き室の増加や地域全体の衰退を招いている。
現在日本には、このような高度経済成長期に建設・供給された大量の団地型公共集合住宅が存在している。
事業主体はこれまでに大規模改修や内装の一新、維持保全に努めてきたが、コストや現状の法規制、居住者の仮移転といった数々の問題も影響して、なかなか現状を打開するには至っていない。
そこで本計画では、永山団地の住宅ストックの現況および全国の公共集合住宅における改善実態を調査・分析し、その現状を明らかにするとともに、それに基づいた改善手法を探った。
スケールメリット的な考え方によって生まれた画一的な団地環境の解体、永山団地の豊かな自然環境を最大限に引き出すことを意識し、団地全体にわたる持続可能な居住環境の改善を行った本計画は、現況を打開することが可能な賦活・更新手法として有効であろう。
|