「都市農地」に注目しました。
川が、冬にはスケートリンクに、乾季には干上がりこどもたちの遊び場になったりするよう、猫の額ほどの都市農地が植物(里芋は人の背丈程にもなる)の成長によって、周囲の戸建住宅に迫るヴォリュームに変化することに驚いたのがきっかけです。
都市を取り巻く宅地におけるミニ宅地開発や大量生産型住宅のスプロール。東京世田谷では400年以上も続いた農地が、すでに失われつつあります。現存するそれは都市農地として、ほぼ同じスケールで繰り返される宅地との隙間に、多様なボリュームで現存します。都市に農地が点在する状況は、矛盾を多く生み、良好な環境ではないと言えるでしょう。しかし、このような無秩序な状況も、少し離れた視点から眺めるとそれ全体で秩序を成しているようにも思えてくるのです。住宅と農地の奇妙な関係が何とも言えない面白さを生んでいるのではないかと思いました。そこで、これらの現象をプラス要素とし、集合住宅の提案をすることとしました。都市農家のあり方・地域とのつながり・都市における空地、これらを解決するものを提案します。全体構成としては、敷地全体を中心部に向かうゆるやかな穴とし、中心に集合住宅を据え、そこへ向かう傾斜が農地となっています。 |