子どもたちは一日の活動時間の大半を教育施設内で過ごしている.学習・生活活動を学び,自我を形成していく成長過程において,教育施設は子どもたちに多大な影響を及ぼしていると言える.成長過程にある子どもたちに良好な学習環境の在り方を考え,提供していくことは,いつの時代においても重要であり,これまで同様,考え続けなければならないことなのではないだろうか.
小学校におけるオープンスペース(以下O.S.)は,現在においても小学校建築の大半を占める画一的な片廊下型からの打開策として四半世紀前に導入された.全国に広く普及する過程で,単にO.S.を設置するだけの小学校が誕生するなど,新たな画一化・定型化が進み,また使い方を見てもO.S.を活用しきれず,単なる広い廊下と化している事例も見られるようになった.
そこで本研究では,これまでの各時代を代表する主要なオープンプラン型小学校の事例を取り上げ,その変遷・現状を把握し,今後の小学校の建築計画・設計に資する知見を得ることを目的としている.
またそれに基づき、児童の学習・生活環境に関する利点・問題点を「児童数と学校規模」「学校と街」「学齢段階と学習空間」といった3つの関係から整理し,『柔軟な学習展開に対応する適切な学校・クラス規模の提案』『学齢段階に即した学習空間の創出』『学校と街との密接な関係性の創出』とソフト・ハード両面から新たな学習空間の計画・設計提案を行った. |