作品概要
地方分権一括法に基づく、都市計画法改正により市区町村の都市計画事業における自主裁量権は拡充し、政策の個別進行などが予想されている。一方で、大規模な再開発や都市基盤整備が耳目を集める昨今、複数の管轄行政主体が複雑に絡み合う行政区境における都市交通施設では、区域を跨ぐ地域住民や利用者の意見が一元的に集約されず、問題解決がますます困難になると考えられる。
そのような中、対象地域である文京・新宿・千代田三区の区境が結節する飯田橋駅周辺地域は、鉄道、幹線道路、河川、歩道橋、高速道路といったインフラが区境を跨いで輻輳しており、さらに、当地域では複数の市街地再開発事業が進行・検討中であることから、今後更なる乗降客数、昼間人口の増加が予想されている。
そこで本研究では、三区の住民と通勤者に対し行ったアンケート調査(有効回答3,379枚)などを基に当地域の抱える問題点や課題を抽出し、住民参加型のワークショップにおける議論内容を重視することにより、改善策の提案を行った。計画に当たっては、幹線道路・鉄道・河川で分断された三区の狭間を、緩やかに縫い取るような都市交通施設の提案を行った。
インフラや管轄行政が複雑に絡み合う都市交通結節点の整備は、先ず第一に、各主体が同じテーブルについて議論を交わすことが必要である。本作品や研究活動自体がその契機となり、区境地域におけるまちづくりのあり方を見直す第一歩となることこそ、本研究の最終的な目的である。
プロファイル
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