作品概要
昔、人は集まって暮らそうとして、都市を作った。古代都市では、公共の場として「広場」、「庭園」、「路地空間」が作られた。しかし超高層建築の発達により、都市の高密度化が進んでしまい、経済効率を考えるあまり、人が集まれる様なオープンスペースは都市から姿を消してしまった。無機的で、均質な建築が登場し、内部と外部が隔離したインテリア偏重都市が広がってしまった。都会の便利なシステムに魅力された人々は、「共存」ということへの意識が段々薄れてしまった。
また、仮想現実世界は最盛期を迎えている21世紀のメトロポリスでは、住、職と遊の境界線は曖昧になっている。都市の物理的な意味は段々薄くなっていく中、人と人が互いの存在に気づく建築空間をつくる必要があるのではないだろうか。消費時代から環境共生時代へと移り変わろうとしている都市では、自然そのものを境界にし、モノを通してではなく、自然や他の人間との共生を楽しむきっかけをメトロポリスに作る方法を考える必要がある。
本計画は、人間環境の向上を求め、何かを他の人と共用できるオープンスペース、時にはモノから離れて建築に立体的に透き間をあける提案である。
こうすることで成長可能な空間を作ると同時に、場所性の強い建築が生まれる。人と人は互いの存在に気づく結果、町に新たな文化が生まれ続け、経済主義によって失われた価値観が取り戻される。いずれにしても「ユニークな共存」はユートピアのゴールではないだろうか。
プロファイル
|