作品概要
あらゆる芸術においてそれぞれの持つ次元を超えた表現手法を探ることは、大きな課題の一つである。
ブックデザイン、グラフィックデザイン、絵画、建築と幅広い分野での創作活動を行い、絵画における立体表現手法の3次元空間への応用を「プロウン」と名付けた連作を通して様々な実験を行ってきたロシア構成主義者の一人、エル・リシツキー(1890−1941)に着目する。リシツキーは「人が行動することで対象の見えは刻々と変化し、その結果、空間とは固定されたものではなく変化する経験の中にこそリアリティが存在する。」と述べ、環境と主体の動きによって経験そのものを対象とした類を見ない空間表現の展開を行い、独自の理論、空間表現の手法を示した。しかし、建築プロジェクトにおいて、リシツキーのデザインしたものは一つも実現されていなため再考の余地は残されているものと考えられる。
本研究では、絵画作品である「プロウン」や実現されているリシツキーの展示空間デザインの分析を行うことで、新しい空間表現手法の可能性を探り、その結果をもとに具体的プロジェクトとして提示することを目的としている。
プロファイル
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