作品概要
1970年代初頭から1990年代初頭にかけて数える程しかなかった都市再開発事業が、近年、東京都心部において急速にその数を増している。そこで本計画では、再開発地域とその周辺地域の乖離した状況に着目し、両者の境界部に「都市再々開発」の方法を提案する。
まず、再開発地域内での建築ヴォリュームの大きさや配置を調査することから、これらの地域の周辺環境に対する孤立性の程度を検討した。また、再開発地域の竣工前後における周辺地域の建築ヴォリュームや用途の変化を調べることにより、再開発地域に対する周辺地域の追従性の程度を検討した。分析の結果、再開発地域の孤立性と周辺地域の追従性から、14カ所の事例を6つのパタンとして捉えることができ、既往の再開発事業では再開発地域の孤立性が高く、周辺地域の追従性が低いものが比較的多いことがわかった。
これらの検討を踏まえ、設計プロジェクトにおいては、既存の再開発地域である中目黒ゲートタウンの向かい側を敷地とし、都市空間スケールの複合建築を計画する。具体的には、日比谷線中目黒駅・目黒川・山手通りの周辺環境に合わせて、「のびる」「へこむ」「削りとる」等の操作により建築ヴォリュームを構成することで、周辺地域に敏感に反応した空間を構想する。このことにより、付近一帯を、再開発地域の孤立性が低く、周辺地域の追従性が高い、今までにないタイプの地域に変換することが可能になると考える。
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