鳥海宏太
所 属
早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻
研究室
古谷誠章研究室
作品概要
一般的に、二室間の境界は「間仕切」としての分割の役割が前提とされる。
かつて日本建築においては、間仕切りや建具は可変なことにより、空間を分割、連結させるもであった。近代、境界は平面計画における強固なラインとしての一義的な存在を強めたと考える。
本研究では、強固な境界をもつ、フィンランドの伝統的木造住居形式tupaを挙げ、それを変様させた人物、alvar aaltoの住宅作品における境界部変様を室内風景から分析することで、境界深度(-カメラ用語の焦点の合う領域を意味する「被写界深度」に習い、境界が振動性を得て多様な距離感覚を生み出す状態-※本研究にて定義する)modelを導く。
分析から導かれた境界深度modelにより、条件の相反する二つのワンルーム空間の設計を行い、本研究の汎用性を示す。
敷地に制限のある二層の空間では、境界部を強く分断し、連続する要素を掛け合わせることより境界部に振動性を与える設計を行う。大きな空間の中で、小ささを獲得する。
敷地に制限のない空間が拡張可能な傾斜地では、境界部に連続性を強調し、弱い分断表現を掛け合わせる。平面的に拡張する多室の家の中で、常に二室と感じとれる状態を獲得する。
本研究の手法を用いることにより、境界部における伸縮性の獲得を実現し、一義的な境界の設計に対する一つの回答とする。
プロファイル
※1 佐野哲史、稲垣淳哉、松浦勇一と共に受賞
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