氏 名
森田 祥子
所 属
(株)佐藤総合計画
研究室
早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻
古谷誠章研究室 工修
作品概要
西洋の建築思想の根底である組積造の開口部獲得の歴史は、建築というマッスを透明に置き換えていく作業であり、近代からの技術躍進の後押しを受けて現代に至るまで、建築は透明性や軽やかさというものを追求してきた。それは単に透けて見えたり重量のない建築を目指すものではなく、建築の存在感をなくしていくことだと解釈できる。
一方で、原始あるいは動物の世界においては「存在を消す」ということは非常に原初的な必要条件であり、そこでの住処はより積極的に隠れようとしている。現代の都市居住においても、匿名性の獲得やプライバシーの確立などから「存在感をなく」し、都市の中に隠れることはきわめて重要な意義を持っているといえる。
バーチャルな空間が浸透し、コミュニケーションにリアルな場が必要でなくなりつつある今、建築という土地に根付いたものでありながら、地続きのコミュニケーションから解放された空間を目指している。