1984年 東京都生まれ
2007年 関東学院大学工学部建築学科卒業
2009年 関東学院大学工学研究科建築学専攻卒業
現在 東京都住宅供給公社勤務
縮小社会を迎えての団地型集合住宅におけるストック活用の提案
―多摩ニュータウン永山団地4丁目におけるケーススタディ―
- 芦澤 祐太
- 関東学院大学 大学院工学研究科 建築学専攻
- 湯澤研究室
4~5階建ての同じようなデザインの住棟が規則正しく建ち並んでいる姿を目にしたことはあるであろう。そのほとんどは1950年代から70年代半ばにかけて大量に生産された、板状の中層階段室型住棟である。今やこれらの団地は、人口が減少する縮小社会を迎え、空き家の増加や地域の衰退、建物の老朽化、機能の陳腐化等の諸問題に悩んでいる。
また画一化した中層階段室型住棟は住戸面積も狭く、現在の居住水準からみても家族世帯には受け入れにくい住空間となっている。しかし、私はそんな標準設計された公的集合住宅の画一性に隠された、多様で柔軟な住まい方に魅力を感じ、日本ならではの特色を持つ良好な住宅ストックとして再生させることを試みた。
そこで本研究では、多摩ニュータウン永山団地4丁目をとりあげ、縮小し成熟していくことを目的とする減築という手法の有効性を確認し、その分析から得た3タイプのスケールの違った減築の手法をケーススタディとして設計提案を行う。一つは外部と内部の生活の連続(外部空間内包化型)、一つは居住者同士のコミュニケーションという視点(共有部コモン型)、一つは1住戸におけるゆとりある家族の住まい方から(居間拡張型)。
これらの提案は建替えや大規模改修といった大きな再生ではなく、永年団地が育んできた環境を継承させながら段階的に行う再生方法である。