1984年 千葉県生まれ
2003年 千葉県立幕張総合高等学校 卒業
2007年 芝浦工業大学工学部建築工学科 卒業
2009年 芝浦工業大学大学院工学研究科
建設工学専攻 修了
シュルレアリスム的建築の設計 -dépayserされる建築の現象物体、unheimlichな家
- 安蒜 和希
- 芝浦工業大学 大学院工学研究科 建設工学専攻
- 赤堀忍研究室
『シュルレアリスム』という運動は、人々の頭に、精神に混乱と諧謔をもたらした。ここに人間がより自由な生を受ける多くの可能性を秘めていると信じてやまない。これはシュルレアリスムの建築の設計を試みたものである。とりわけ良い建築を目指すものではない。 最終的に住宅を設計し、シュルレアリスム的建築の回答として提示する。
シュルレアリスムにおける様々な表現は、共通して結果的に“客体”の奇妙な羅列であり、人々に驚異や痙攣なるものを与えている。では、どのようにしてシュルレアリスムを建築にするか。それは柱などの建築を構成している諸要素に内在する現象をデペイズマンさせることで、確固たる現実の建築としての超現実を見出す。
柱、壁、屋根、階段、戸、窓、天井、床、椅子、机、棚の11の建築の諸要素を “客体”とし、不完全性を孕んだ広辞苑によって解釈を求め、私的数式にして表した。それを道具にし、「痙攣的な美」を考慮しつつ、ドローイングと模型でデペイズマンの試行を行った。 住宅の中身を架空のコモンイメージとして定着しているアニメ「クレヨンしんちゃん」の野原邸に求めた。図面・模型化し、家族・部屋構成を引用する。
以上をもとに、住宅を設計した。
それは痙攣的で、不可思議で、身近なunheimlichな家である。