1983 大阪生まれ
2002 千里国際学園高等部 卒業
2007 芝浦工業大学工学部建築学科 堀越英嗣研究室 卒業
2009 芝浦工業大学大学院工学研究科修士課程
建設工学専攻 修了
建築における「他者」について
- 前田 信彦
- 芝浦工業大学大学院 建設工学科専攻
- 堀越英嗣研究室
あらゆる場所がネットワーク化を試みはじめて久しい今日において、あらゆる都市を、建築を、無視することはできない。そのような意味で、建築においては、あらゆる「他者」としての外部が内包されるべきである。
あらゆる構築を行うこととは、その内部を作り出すことにほかならず、換言すればその外部との境界をひくことである。それは大から小へと続く無限の入れ子構造である。外部としての「他者」を省みない構築は、あらゆる環境問題や人種差別の原因になっていると私は考える。もう一度、このような今日のネットワーク化を試みはじめて久しい都市において、私たちはそのような入れ子構造における弊害を見直し、その内部と外部の境界を認識し、そのありようについて再考する必要があると考える。私は、入れ子構造そのものを否定しているわけではなく、その外部について、他者について認識することこそが、その内部化なのではないかと考える。
そのような意味から、私は建築における外部とは、冒頭で述べた都市のみではなく、あらゆる「他者」のことであり、私が建築における「他者」と言っているのはまさにそのことである。
今回の修士設計では、熱帯魚水槽に囲い込まれた(内部)自然(外部)を例にあげ、それを地形として可視化し、さらに建築化することで、構築における本質を暴露することを目的として計画した。