出展作品一覧

変容する体験 ―ツールとしての辞書を用いた空間の展開―

氏名
藤江 保高  
所属
東京芸術大学 美術学部 建築科
所属
元倉研究室

作品概要

 日常生活には注意深くしないと見過ごしてしまうようなささやかな興味深い光景や現象がたくさん潜んでいます。 人間はそういうささやかなモノによって導かれていくような気がしています。 空間それ自体が持つ形態やそれによって引き起こされる現象によって、磁場のような働きをもつ、人の行為がもっと自由に移り変わっていくような空間を作りたいと考えています。

日常生活の中で撮りためた写真を加工、言語化していくことで「光と現象の辞書」を作ります。 この辞書は光の特性を記録するツールであると共に、新たな現象を生み出すための資料として使用されることになります。

辞書から引用された、イメージの読み換えや、言葉の組み合わせによって生まれた20ほどのモデルは、辞書からでは見出すことができなかった新たな現象や空間構成を持ち始め、そこで起きる現象は、太陽、人、時の流れに従って変容していきます。空間の作り出す現象が変容するのに伴い、人間の体験は、空間のもつ拠り所とともに変容していきます。

モデルから引き起こされた現象は、新たに「光と現象の辞書」に書き加えられ、辞書は厚みを増し続けていきます。 そしてここに展示された20の模型は、現象の博物館であると同時に、「光の作る領域」や「柱の疎密」によって人の動きや行為を促していく「変容する体験」を体現した空間なのです。
プロフィール
藤江 保高 
1984年 静岡県生まれ
2006年 東京芸術大学卒業
2008年 シュトゥットガルト美術大学留学
2009年 修了制作(変容する体験)吉田五十八賞受賞
2009年 東京芸術大学美術研究科修了
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