国立西洋美術館の復元に伴う増改築計画の提案
-近現代建築における主用途を維持した保存活用-
- 吉川 和博
- 東京理科大学 大学院工学研究科 建築学専攻 出身
現在 (株)日建設計 設計部門 所属
現在までの約50年間に数度の改修工事が行われているが、その際ル・コルビュジエのデザインを尊重した工事が行われてきた。また、建設の経緯や改修工事の資料も充分に保管されており、近現代建築の文化遺産として保存・活用されている。
昨今、フランス政府が中心となり、ル・コルビュジエの世界各国に点在する作品を一括して世界遺産一覧表への記載物件として共同推薦する動向があり、西美もリストに加わっている。
国内において近現代建築を文化的遺産として再認識する運動が活発になってきている反面、対象となる建築物をどのように保全し、修復・保存を行い、更にその文化遺産を活用させるのかという理論の体型化も、これから文化財としての近現代建築に対する修復技術のストックもされていないのが現状である。これを受け本計画では、国立西洋美術館の増改築の変遷を踏まえ、主用途を維持したまま保存・活用してゆく為の増改築計画を試みることで、文化遺産としての近現代建築の保存活用方法の一例を提案することを目的とする。