1984年 青森県生まれ
2007年 宇都宮大学建設学科建築学コース卒業
2009年 宇都宮大学大学院修士課程修了
受賞歴
2007年度日本建築学会設計競技 関東支部入選
健康維持増進住宅設計コンペティション 佳作
HARMONIZING RESTORATION -烏山女子高校校舎の高齢者複合施設への更新-
- 堰川 岳
- 宇都宮大学大学院工学研究科建設学専攻
- 建築計画研究室
建築は、社会の資産として生みだされ、社会の変化に翻弄されるようにその役目を終える。その繰り返しが成長を一辺倒に志向する社会を支えてきた。しかし、成長が頭打ちとなった現在、用途の抜け殻となった建築が、社会を反映するかのように虚しく佇んでいる。
烏山女子高校。
平成20年度の高校再編によって烏山高校と統合され、在籍している生徒の卒業を待って廃校になることが決定している。今まさに、用途の抜け殻になろうとしている建築である。
本計画では、社会の変化によって失われていく用途、また、その変化によって必要とされる用途を見据えると同時に、その建築が長い時間を介することで築き上げてきた豊かさを継承し、過去と未来を繋ぐ建築を目指す。
元々ある詩のリズムと韻を踏襲して、別の意味を持つ新しい詩に書換えるように、あるいは、元々ある音楽に新たな旋律を重ねて美しい和音を奏でるように、建築を考える。
建築の機能は、地域の都市構造の中に溶け込んでいくように、建築の形態は、校舎と周辺環境、大地との関係を体現していくように、建築を構想する。
そして、市街地を臨む小高い丘にたたずむ建築の奏でるハーモニーが、地域に響きわたり、そこに住む人々の世代を超えて記憶を共有していく。そんな未来を思い描き、「調和」という命題のもと、建築の更新の一手法として提案する。