1985年 神奈川県生まれ 群馬県育ち
2010年 千葉工業大学大学院 工学研究科 建築都市環境学修了
猿島 —自然界の巣をモチーフにした島環境デザイン―
- 木村 優志
- 千葉工業大学大学院 工学研究科 建築都市環境学専攻
- 遠藤政樹研究室
建築は現在、近代技術の過大な偏重が見直され、自然、地域環境と新しい関係をつくる術が求められている。本研究はその解決を計るために、18世紀の学僧マルク•アントワーヌ•ロージェが「建築試論」において行った、装飾を否定することで初源的な建築原型提案を行った方法を模倣することにした。自然界が形成する「巣」というものが、現代技術とは関係なく周辺環境との関係によってのみ成立するという点で原型になる得る資質を備えていると考えたのである。そして本研究では「巣」を“不完全なかたち”と定義し、animal architectureなる100種の巣の図鑑を制作することから研究がはじまった。そしてその成立要件を、周囲の支配条件、種の持つ生理条件、動物固有な機能条件、幾何学的条件にわけて、新たな方法論として3つの方法を掲示し、その指標に従った具体的敷地での建築の再構成を行う計画とした。
計画敷地は東京湾内に浮かぶ猿島という小さな無人島である。そんな環境に動物が巣づくりをするのと同様の方法で、現代技術を極力必要としない不完全な建築を計画してゆく。
施設は主に4カ所計画された。そのどれもが猿島との関係によってのみ成立する“不完全なかたち”といえるものである。環境という大きな問題に対し、1つの方向を示唆する提案である。