1985年 東京都生まれ
2008年 東京理科大学工学部建築学科 卒業
2010年 東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
自然な建築 - 有機的空間構成システムを用いた設計 -
- 栗原 季佐
- 宇野研究室
異なる活動を受容する空間の一つの解答として、例えば木漏日や雲の陰りのように心地よいとされる自然現象がある。本設計では、人に快適さを与える「自然な建築」とはどのようなものかを探り、異なる活動が共存する多様な空間の設計方法を検討することを目的している。
計画敷地は、東京都北区の石神井川とJR埼京線が交差する高校跡地である。隣接する「音無くぬぎ緑地」は石神井川の蛇行整備によって生まれた公園で地形的な名残りとして、約4mの高低差が緑地と校舎を分断している。また、フランス人学校リセがこの土地へ移転する計画より、既存校舎に収まらないリセの活動の受け皿として小中高を繋ぐ新たな空間を校舎と公園の間に設け、さらに北区立児童館の併設を設計プログラムとした。
「自然な建築」を「部分と全体が連動する有機的空間構成システムを有した空間」と定義する。それを上記の敷地とプログラムに適用し、設計検討を行った。第一に、思考実験として有機体を模倣したモデルを試作し、部分と全体が連動するシステムを有した形態は不均質な様相となることを確認し、第二に、自然要素制御のための窓やカーテンとフレキシブルな間仕切り可動壁を一体として捉え、ヒンジによる回転扉を採用したシステムを検討した。二つのアプローチによって得た知見より、自然と人工の境界上に建築的経時変化を包含する多様な光分布が発生する空間を提案した。