黒田　桃

東京理科大学院　工学研究科　建築学専攻

宇野求研究室

東京都中央区日本橋馬喰町を対象とし中層都市木造建築の試設計を行い、都心部における中高層木造に焦点をあて木質建築の魅力、利点、可能性について検討することを目的とした。木造建築の変遷を辿り木造建築の現在を概括的に捉えたうえで、中高層木質建築を実現させるための技術および法規の現状と課題を明らかにし、さらに企画設計の検討を行うため、近年対象敷地周辺で増加傾向にあるギャラリーに着目し、現地調査、ヒアリング調査を実施、その結果点在するギャラリーの拠点となる「アーティスト•イン•レジデンス」の計画を検討した。また「木のような建築」を建築設計の基本コンセプトとした5種類の建築構成を検討し、それらのスタディを通じ、1）断面積の疎密、2 ）枝分かれ、の2点に焦点を絞った検討を行う。加え、木の形態特性の考察から、1）方向性、2）階層性、3）象徴性、4）軸性、の4つのコンセプトを導入し、また設計に援用される建築システムとして、1）循環性、2）生産性の2つに着目した検討を行い、敷地条件から木のような形態を形成する基本構成要素として線材から成る3種類の木質フレームを採用した。主構造材となる幹モデル及びそれを補う枝モデルにより、多様な軸性を備えた領域を構成している。115パターンモデルフレームを重ねた層構造および構造体（柱•壁）の断面積の疎密により、「木のような」基本構造フレームを設定し、材質、外観、内部空間、空間構造の新しい現代建築の設計についての可能性を示すことを目的とし、設計を行った。

1985 東京都生まれ
2008 東京理科大学 工学部 建築学科　卒業
2010 東京理科大学院 工学研究科 建築学専攻　修了