仮想境界の知覚に着目した空間連続体の設計提案
- 氏名
- 水口 朝博
- 所属
- 首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築専攻
- 研究室
- 小林克弘研究室
作品概要
今日見られる建築の多くは、経済性や合理性、生産性を追求するあまりに、単一モジュールによって類似した空間が上下左右に配列されており、そのような建築空間は利用者に対して、空間体験の単調さを引き起こし、建築の魅力を半減させているように感じる。そこで本提案では同質の空間の配列ではない、心理学的見地から仮想境界という知覚を三次元の空間へと昇華し、有機的に結合する空間連続体の提案を行った。
建築の歴史において空間という言葉が初めて用いられたのはG・ゼンパーによって定義された「囲うこととしての空間」であった。後に建築の構造形式の自由化に伴って、空間の概念も変化していき、モホリ・ナギによって「連続体としての空間」なる概念が打ち出されることになる。この概念は同時代の建築家たちに多くの影響を与え、連続体としての空間が実作として生まれる。こうした空間連続体には仮想境界という物理的境界でない、知覚による境界が生まれることを示し、近代建築における空間の連続性に寄与したナギの空間の定義を基に、空間連続体の在り方を定義した。次にゲシュタルト心理学の知覚の原理を参照し、欠損補填の観点から5つの空間連続体モデルを作成し、それらのモデルを利用した空間連続体の設計提案を行った。ここでは、その利用をより限定した室同士が相互に関係を持ち、流動性を考慮すると共に、ある地点からの空間把握性を実現した展示空間の提案を示す。
1985年 | 神奈川県生まれ |
2004年 | 神奈川県立湘南高等学校 卒業 |
2009年 | 首都大学東京 都市環境学部 都市環境学科 建築都市コース 卒業 |
2011年 | 首都大学東京大学院 都市環境科学研究科建築学域 修了 |