贋作 見えない都市 - 艀と複数の舞台による都市の劇場化計画 -
- 氏名
- 松山 晶子
- 所属
- 早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 石山修武研究室
作品概要
「エウサピアの都市以上に不安を逃れたがる都市はございません。生から死への跳躍をいくらかでも衝撃の少いものにしようと、住民たちはこの都市の完全な模型を地下にこしらえております。」
イタロ・カルヴィーノの小説『見えない都市』。この一節から現代の東京を思い浮かべる事で、本計画は始まる。
『見えない都市』で、フビライはマルコ・ポーロが語る幻想都市をもとに、広大な帝国を見る。発展した交通網による時間と距離の概念の喪失、グローバリゼーションに奪われた都市の個性。それらを想像で補う私達とフビライの都市の捉え方は似ている。
かつてピラネージが描いた廃墟の版画は、このような現実と幻想の狭間にある都市の姿を表現していた。そこに描かれる人間が演劇的である様に、東京も既に劇場化している。無意識の役者はいるが観客のいない劇場。しかしそれは、都市に日常を取り囲まれ、当事者として生活する私達には意識されていない。
秋葉原における川沿いの7つの舞台と遊歩道の計画。
それらを観客席となる艀で巡ることで、観客はある一連の物語に取り込まれる。演技者と生活者の姿は徐々に区別がつかなくなり、艀自体も都市のパフォーマンスとなって、川そして都市全体が劇場として認識されていく。
私達は、既に劇場のような都市で生活していて、そこでは現実と幻想が交錯している。その様な都市における体験を解き直し、実体あるものとして認識する為に、本計画を提案する。
1986 | 東京都生まれ |
2009 | 早稲田大学理工学部建築学科 卒業 |
2011 | 早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻修了 |