PROJECTS DETAIL
作品詳細
再生建築における「対立性」を応用した設計提案
- 氏名
- 上田 将也
- 所属
- 首都大学東京大学院
都市環境科学研究科 建築学域 - 研究室
- 小林克弘研究室
- 作品概要
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本研究の意義は、再生建築特有のデザインを「対立性」という視点から分析・応用することで、再生建築を建築意匠論/建築史の中に位置付けることにあると考える。
再生建築の中には既存建築の履歴を保存・強調・淘汰することで生じる矛盾や両義的関係を有するものがある。
「対立性(contradiction)」という視点を建築論に導入したのは建築家R・ヴェンチューリであった。彼は矛盾を抱える建築の「複雑な統合」を評価することで、デザインの純粋性を追求したモダニズム建築を批判した。前述した再生建築の特徴はヴェンチューリが意図しなかった時間的変化を内包・投影した「対立性」であると言える。
論文部分では、「対立性」に関わる通史および再生建築の分析を通して、再生建築おける「対立性」は建築が永遠・不変の存在であることをあきらめることによって得られる受動的な性質・価値であり、逆説的に長寿命化・高度利用化を図る概念・手法であることを示した。
設計提案では、新築として「多世帯住居化する戸建住宅」の設計を行った。一世帯住居から三世帯住居へと段階的に転用される住宅の設計提案を通し、「新旧」という時間的対立を捨象しうる新たな建築表現を獲得することを意図した。
ヴェンチューリが「対立性」を用いて、「モダニズム」を批判し、新たなデザインを生み出したように、本研究では再生建築における「対立性」を用いて「新築」を批判的に捉えることで、新たな建築の可能性を思案したい。
プロフィール
- 1990年
- 東京生まれ
- 2013年
- 首都大学東京
建築都市コース 卒業 - 2015年
- 首都大学東京大学院
建築学域 修了
作品イメージ
作品ファイル(PDF:2.8MB)