PROJECTS DETAIL
作品詳細

空間の先立つ建築 - マゾヒスティックな
設計手法の構築の試み −

氏名
罍 彩子
所属
日本女子大学大学院
家政学研究科 住居学専攻
研究室
宮晶子研究室
作品概要

行為や用途が先立つ建築ではなく、空間が先立つ受け身な、マゾヒスティックな建築を考えるプロセスとプロポーサルを試みる。
建築と空間は表裏一体である。建築に伴う空間は、人間が視覚を通して建築を認識することで浮上する。その建築は、ある形態の組み合わせで構成されている。そしてその建築の形態をつくり出すのは、面である。壁面、天井面、床面。すべてが、面である。この面の配置が、どのように認識され、どのような空間を浮上させているのか。面の配置から空間の潜在的な性質を理解することが、空間を先立たせる手がかりとなる。一方で、人間の認識にはそれぞれ差異がある。そのため、空間の性質には認識の傾向が偏る共通項と、認識の傾向のばらつく差異が存在する。その共通項と差異を図式化することから設計ははじまり、共通項と差異をコントロールすることによって空間は用途や機能、行為を獲得する。そうして形態主体でつくり出された面の配置は、人間主体の生態的な空間へとかわっていく。建築において用途や機能、行為ではなく空間を先立たせることは、人間の認識、人間そのものを設計において先立たせることと同様である。人間に対して親密な建築をつくり上げる1つの手法の構築の試みとなるのではないだろうか。

 

プロフィール

1990年
東京都出身
2013年
女子美術大学 デザイン学科
環境デザインコース 卒業
2015年
日本女子大学 家政学研究科
住居学専攻 修了