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分離と接続の住宅
公室の二極分離によって多様化する空間接続

氏名
安田 陽
所属
東洋大学大学院
理工学研究科
建築学専攻
研究室
篠崎研究室 (住環境研究室)
作品概要

 日本の住宅は、可変的で自由度の高い空間から、「食寝分離」「寝室分離」「公私室分離」と居室の分離によって生活の質を向上してきた。
 しかし現代では、都市機能の充実によって資金さえあれば最早都市で生活できる環境が広がっている。このような社会背景の中でも戸建住宅は建てられ続けているが、周辺との関係を過剰に分離し、自己完結的な生活を送る住宅が多い。
 吉岡賞受賞作品の分析から得た多様な空間接続形式と、家族を守る「家族圏公室」都市を引き込む「都市圏公室」という2つの傾向を踏まえ、住宅が持つ豊かさを思考する。
 敷地は吉祥寺のサンロード商店街を抜けた住宅地。吉祥寺は駅周辺から都市計画道路沿いに伸びる商業地域と、一本入ると閑静な住宅地が広がる住居専用地域に明快に分離して計画することで、互いに住み分けながら発展した街である。
 私が設計するのは、生活機能が店舗機能と共有される3つの住宅。都市領域が住宅の玄関口から内部まで入り込み、周辺住民を招き入れる空間的奥行が生まれる。この小さな共有空間が住宅地に参加することで、住人同士の生活が接続される。これは都市から住宅への一方的な介入ではなく、住宅を主体とした都市との相互的な接続である。多種多様な住人の生活領域を周辺との分離によって守りながら、空間と機能の接続によって形を変えて現れる接客空間が、現代における住宅での生活を彩る場所となる。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1992年
    茨城県生まれ
    2015年
    東洋大学 理工学部 建築学科 卒業
    2017年
    東洋大学 理工学研究科 建築学専攻 修了