作品詳細Gallery
五十年の継ぎ手
- 相馬野馬追を通じた集団帰省の提案 -
- 氏名
- 藤原 麻実
- 所属
- 早稲田大学大学院
創造理工学研究科
建築学専攻 - 研究室
- 入江正之研究室
- 作品概要
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2011年の東日本大震災によって、福島県相馬地域は津波と原発の二重の被害を受けた。しかし、2016年7月の避難区域解除を起点に、再び元の集落の姿を取り戻そうと動き出している。再生に根本的に必要とされるのは、人々が小高と接点を持ち続けること。そこで相馬地域で千年以上前から行われている『相馬野馬追』を中心とした、年に一度の集団帰省を考案し、その具体的な風景を思い描くことから設計を始めた。
敷地は相馬野馬追の最終地点である小高神社の境内の足元。この場所は通常新設高校の生徒100人の学生寮・第一次産業の生産拠点として運営されるが、『相馬野馬追』の最終日にだけ(歓迎・宿泊・伝達)の役目を担う集団帰省所に様変わりする。特に『相馬野馬追』に用いられる小高郷の170本の旗印に彩られた新参道はこの場所を象徴している。緩やかなカーブを描いた建築の先端部は帰省者を優しくこの場所に包み込み、上昇する旗の列は小高神社まで続く階段を上るように導き、参拝を経て帰省したことを実感させる。
この集団帰省は残留する高齢者・移居した生産年齢者・高校生・初来訪者といった多様な状況下にある人々が縁を持ち続ける契機である。将来的にその行為が慣習化し、帰省が日常化し、最終的には帰還という選択肢に繋がることを願う。
プロフィール
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略歴
- 早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻