作品詳細Gallery
図と地が反転する建築 -都市を室内空間と認識するための手法-
- 氏名
- 本井 加奈子
- 所属
- 芝浦工業大学大学院
理工学研究科 建設工学専攻 - 研究室
- 堀越英嗣研究室
- 作品概要
-
現在の日本の都市に存在する使われていない公開空地や密集して立つ建物の隙間などの余白は、外部は内部の残余空間という意識の表れである。
この意識を変えたい。
そこで、外部を建築空間化しているパサージュを図と地の反転している建築と捉え分析を行い、都市を室内空間と認識できる建築の提案を試みた。
本棚が日常的に道に出ており、概念的な反転が起きている街である神保町の4街区を計画敷地とし、その間を通る道を内部空間化するとともに立体化させ、外部に様々な人々の居場所をもつ複合商業施設を提案する。設計の手法として、パサージュ分析から得た「高さの認識」「図の配置と向き」「床の切り替え」という空間要素とそれらが作り出す「仮想的境界」を用いてゆく。これらは、天井はないが高さを認識できる、扉はないが内部に入ったという感覚を生み出すなど、人々の認識を揺らがせるための手法である。それらの手法に神保町の街の要素を取り入れながら建築空間化してゆく。こうして内部化された外部を体験し、そのキーとなる要素を街に見つけることで、人々の都市空間の捉え方が変わる。
本提案で都市は一つの室内空間であり様々な過ごし方ができる場だと再発見してほしい。一つの建築で都市空間のすべてを変えることはできないが、人々の認識を変えることで都市での過ごし方や今後の都市のあり方は変えられるのではないだろうか。建築にはその力があると信じ本提案の結びとする。
プロフィール
-
略歴
- 1993年
- 茨城県生まれ
- 2016年
- 東海大学 工学部 建築学科 卒業
- 2018年
- 芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建設工学専攻 卒業予定