「Castle for Resilience」神経系アプローチによるレジリエンス空間の体系化研究
- 発達性トラウマ・ケアのための建築設計提案 -

氏名
大野 めぐみ
所属
千葉大学大学院
融合理工学府 創成工学専攻 建築学コース
研究室
岡田研究室
作品概要

COVID‑19により人々が家に閉じ込められたことで家庭内暴力が深刻化し、トラウマ障害の治療が喫緊の課題となっている。対策が追い付いていない状況下で日常に潜む病、特に「発達性トラウマ障害」を治療する一端を、建築空間が担えるのではないかと推察した。
本研究では、発達性トラウマ障害のメカニズムと治療法についての文献を空間的観点から整理・分析を行い「レジリエンス空間」として抽出・体系化を行うことで、トラウマ・ケアのための建築設計に結びつけることを目的とする。
本設計では、体系化したレジリエンス空間の建築体験によって、「SETM」をはじめとするトラウマ・ケアを実施するサードプレイスを提案する。新宿区の都有地を敷地とし、家庭に悩みを抱え、発達性トラウマ障害に苦しむ「トー横キッズ(サバイバー)」を設計対象とした。サバイバーにとって、体と⼼の安全を感じられる「城」となる建築を目指した。
体の安全は、レベル差や没入感あるアプローチによって、安全性のグラデーションと非侵入感を演出することで保証する。心の安全は、五感と筋肉へ興奮と休息を与えることで鍛え、トラウマを克服させる。
以上により、トラウマに打ち勝った体験と、空間で育まれたリズムある建築体験をリンクさせ、「処方箋」としてサバイバーに保存させることで、レジリエンスある心身へとアップデートした。サードプレイスから離れていても、建築体験がトラウマを和らげる効果を発揮するだろう。

作品イメージ

作品ファイル

Profile

  • 略歴
    1997年
    東京都生まれ
    2020年
    千葉大学 工学部 建築学科 卒業
    2022年
    千葉大学大学院 融合理工学府 創成工学専攻 建築学コース修了

一覧へ戻る