無名建築の再価値化 生残•解放可能性

氏名
岸 晃輔
所属
東京都市大学大学院
総合理工学研究科 建築・都市専攻
研究室
福島加津也研究室
作品概要

盛岡に現存する二棟の無名建築、明治37年竣工の第一乾草舎、その4年後、明治41年竣工で、1km離れた第三農機具庫が、私の提案の対象です。農商務省の異なる施設に建てられた二棟の覆馬場は、小屋組トラスの構成が近似しています。加えて、竣工の4年の差によって見られる,相違点による学習可能性にも、価値を見出します。まず二棟の近似点は、吊束への鋼材の使用、外壁から突出する飛柱や、寸法にまで至ります。続いて二棟の相違点です。第一乾草舎は均一なスパン、せいの大きな木材を継いだ小屋梁など、明治後期の最先端技術と言えるデザインが見られます。しかし、現在は放置され、ただ解体を待つのみです。第三農機具庫は、不揃いなスパン、鋼材の小屋梁中央部への合理的な使用など、盛岡の職人の限られたデザインで、 第一乾草舎を真似て建てたと考えられます。こちらは現在も利用され、手を加えられながら建っています。調査から、現状を記録するカルテや、それぞれの建築のデザインコードを読み取り、私のデザインを行います。まず、第三農機具庫の補強です。カルテに則って、デザインコードを踏襲し、屋外の庇から基礎までの、部材ごとに補強を行います。
第三農機具庫の補強と第一乾草舎の移築、覆屋の新築は、二棟が存在することの価値を示し、当時からの盛岡の建築技術をも学習可能とします。価値ある二棟の無名建築を、生き残らせ、開いてゆく可能性を考えました。

作品イメージ

作品ファイル

Profile

  • 小さい頃の夢は機関車トーマス
    神奈川県立海老名高等学校 卒業
    東京都市大学 福島加津也研究室 所属

一覧へ戻る