根曲り建築
- 雪国における根曲り木の個性と向き合う -

氏名
南 あさぎ
所属
東京理科大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
岩岡研究室
作品概要

森は多様だ
木も人と同じで、育つ環境が違えば「個性」が生まれる。これまで木の個体差は欠点としてみなされてきたが、現代であれば、素材の違いをポジティブに受け入れられのではないか。素材の個性を尊重することで、空間は多様になっていく

近年の木材流通や加工におけるデジタル技術の発達により、「森の多様性」をデータで扱えるようになってきている。つまり今ある技術を用いると、製材される前の森の段階から木材利用を考えることが可能になりつつある。
これまで価値がないとされ、規格からこぼれ落ちていた木材たちの活用方法を作り手が考えることは、新しい流通の流れを生み出す一歩になると信じている。そうして、少しずつ森にお金を返していくことが大きな目的である。

本修士設計では、積雪地帯における林業で課題となっている非流通材「根曲り木」に着目した。
根曲り木とは、雪の重みや斜角などの外的要因により根本部分が曲がった木で、材の利用率の低下を招くことから「雪害」とも呼ばれている。
敷地は木材資源が豊富かつ木材流通の一次・二次産業がまとまっている岐阜県飛騨市とし、流通実態をヒアリングし、根曲り木の生態調査を行った。調査・分析結果から、飛騨市周辺の全114本の根曲り木を3つのグループに分け、それぞれの材に適した活用方法を提案した。素材の違いを受ける柔軟な構法を提案することで、根曲りを個性としてポジティブに捉え、空間に落とし込んだ。

作品イメージ

作品ファイル

Profile

  • 略歴
    1996年
    千葉県浦安市生まれ
    2019年
    東京理科大学 理工学部 建築学科 卒業
    2022年
    東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了

一覧へ戻る