蘇ル故郷ノ風景

富山県山王地区矢部を対象としたヴァナキュラー・オブジェクトの提案
氏名
西村和将
所属
神奈川大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
六角研究室
作品概要

近年、機能性の高い画一化した建築が建てることができるようになった反面、建築は均質化しその土地固有の風景は失われてきている
“地域性ある風景”を持つまちで人々はその地域が初めに有していた自然環境(=始原の環境)を肯定的に捉え最大限駆使した暮らしが行われ、その暮らしと呼応した構築物がまちには現れている。この構築物をヴァナキュラー・オブジェクトと呼び扱う。対象地域である富山県山王地区矢部において、特にカイニョ(=屋敷林)と養鯉池の二つのヴァナキュラー・オブジェクトに着目できるが、現代においては土中環境の悪化や役割の希薄化から失われてきており故郷の地域性ある風景は失われてきている。そこで二つのヴァナキュラー・オブジェクトを有した実家での暮らしの経験から改めてそれらを有した豊かな暮らし方を考察したところ、多様に変化する自然環境の中で人々が自ら能動的に適した環境を見出しふるまうことができる暮らしこそ矢部地域ならではの豊かな暮らし方であると考えた。そこでその暮らし方に基づくヴァナキュラー・オブジェクトとカイニョと養鯉池と共存できる建築や土木について提案し、故郷の風景を蘇らせる。
故郷を対象に地域性ある風景を構築する一連の過程で、現代において一律な環境下を求める私たちにとって忘れ去られてきている、居場所の構築方及び“地域に暮らす”ことを再考した提案である。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 富山県高岡市生まれ

2022年 神奈川大学 工学部 建築学科 卒業

2024年 神奈川大学大学院 工学研究科 建築学専攻 六角研究室修了