東京低地の公害

- 土壌汚染対策法が引き起こす潜在型公害の実態の把握 -
氏名
平塚翔
所属
芝浦工業大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
建築・都市計画研究室(西沢大良研究室)
作品概要

都市と公害は切っても切り離せない関係であり、古代都市から近代都市において質や現れ方を変化させ連綿と発生し続けている。もはや公害を発生させなければ、都市活動は継続できないといった都市現象である。こと土壌汚染は、不可視で潜在的な性質であるが故に、長年にわたって看過され続けた公害問題である。
日本においては土壌汚染対策法改正(2010年施行)を機に、目先の経済合理性を優先し土地の流動化を押し進めた結果、〈健康被害がない程度に土壌汚染が残置する〉敷地を生み出した。それは元工業用地における市街地への用途転用によって、より身近な建築用途下に慢性的に潜んでおり、生活環境を脅かしている。もはや汚染土壌の存在を前提として、それを有害化させない土地利用や施設計画を行う必要がある状態に至っている。
本研究の調査編では東京低地を対象に事例の分析を行い、地中に眠る土壌汚染の実態を追求し記録を行った上で、今後議論されるべき課題を俎上にあげている。さらに設計編では現状最も深刻な事例をケーススタディとして土壌汚染がもたらす住民の健康被害を未然に防ぐための建築計画を行い、公害という概念を通して現代における建築設計のリアリティを呈し、切実に建築を組み立てている。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 埼玉県朝霞市生まれ

2022年 芝浦工業大学 建築学部 建築学科UA コース 卒業

2024年 芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了