拝啓

- 知覧特攻平和会館建て替え計画 -
氏名
小屋深愛
所属
昭和女子大学大学院
生活機構研究科 環境デザイン研究専攻
研究室
杉浦久子研究室
作品概要

わたしの大叔父は特攻隊として25歳という若さで命を落とした。知覧特攻平和会館は、陸軍による特攻隊の遺書や遺影などの展示を行う平和博物館である。飛行場であった周辺環境との繋がりを持たせ、より現場性を実感し過去と現在がオーバーラップするような建築を提案する。
site1では、既存の平和会館から遺書に合わせた空間構成へと建て替えを行う。スロープに沿って並べられた1036台の譜面台には一人一人の遺書と遺影が展示され、彼らが大切な人に宛てた想いを知る。site2では、平和会館から少し離れた山の中に展望施設を設計する。過去から変わりゆく景色を見た時、来訪者自身が遺書を残した彼らと同じように、誰かに手紙を書けるような空間となる。site3では、茶畑の中に滑走路の痕跡を浮かびあがらせるような燈を灯す。
遺書という名の最後の手紙を通して、一人の人間である彼らを知り、これらの建築を通じて、知覧全体を周遊する。彼らは確かにここに存在し、覚悟を決めてここから飛び立っていった。現在の飛行場の跡形もない知覧の景色を見ることは、私たちが享受している平和を改めて感じることになるのではないだろうか。彼らの抱いた想いはいったいどのようなものだったのか、それを考え続けることが私たちのできる慰霊であり、歴史を伝え続けていくことであると考える。今後、このような悲劇が起きないようにするために、この地から平和を願っていきたい。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 神奈川県秦野市生まれ

2022年 昭和女子大学 生活科学部 環境デザイン学科 卒業

2024年 昭和女子大学大学院 生活機構研究科 環境デザイン研究専攻 修了