環境単位に階層性を与える建築設計

多重なスケールで共同体を構築する形式の提案
氏名
松本乙希
所属
東海大学大学院
工学研究科 建築土木工学科
研究室
野口直人研究室
作品概要

私の好きな風景のひとつにハロン湾がある。この風景は島々が「ばらばら」でありながら、船の往来や人間の営みによって「まとまり」がある状態であり、興味を持った。このような状態はそれぞれが個性豊かであり、時として壮大な環境を作り出す。そこでおおらかで多様なまとまりを認識できる環境を構築していきたい。
ここで修士設計では「単位」に着目した。単位については、先行事例として北山恒氏が“ある環境における人間の集合単位について”「都市の社会環境単位」と提唱しており、本計画では現代における環境単位を提案する。現状として暮らしを形成する基礎単位が家族から個人へと移行しつつあり、新たな共同体へと変容する転機を迎えている。その状況が顕著に見られる都心部の新宿区大久保を対象とした。昨今の大久保は、階層的な都市構造が見られ、現代のエスニックタウンは形成してきた。しかし豊かなヒエラルキーは、建築スケールになると一変して普遍的な形式の住宅になる。そこで建築に階層を与え、都市環境の一部となる滞在の場とし、この街特有の建築形式を計画する。それぞれの部屋にインフラ設備だけ散りばめた部屋を無数に用意したことで、多様な賃貸システムが発生した。
以上より「都市、地域、生活圏、居住圏」のように段階的な圏域の変化が街のヒエラルキーを作り出し、それらを横断しながらやわらかく共同体が形成されていくことを期待する。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 神奈川県湯河原町 生まれ

2018年 東海大学 付属相模高等学校 卒業

2022年 東海大学 工学部 建築学科 卒業

2023年 東海大学 工学研究科 建築土木工学専攻 修了

受賞歴

・東海大学最優秀学士設計賞「TD賞」

・第53回毎日・DAS学生デザイン賞「佐野正一賞」

・歴史的空間再編コンペティション「12位」

・東海大学最優秀修士設計賞「MD賞」

・東海大学修士設計学内審査会「萬代基介賞」