オランダ東インド家具博物館
- 氏名
- 曽根巽
- 所属
- 東京工業大学大学院
建築学コース 建築学専攻 - 研究室
- 安田幸一研究室
- 作品概要
-
今日の生活の多くが、植民地主義の産物である。
私達は、チョコを食べながら、紅茶を飲みながら、あるいはスパイスを嗅ぎながら、チョコを食べること、紅茶を飲むこと、スパイスを嗅ぐことについて批評しなければならない。
そこには2重の距離がある。生活はあまりにも近くにあり、植民地はあまりにも遠くにある。2つの距離の間で私達は引き裂かれている。オランダ東インド家具博物館は、この距離の作用を運用することで、既存のエキゾチックな美学を相対化しようと試みる。
--
アムステルダム南の住宅地に建つMonument Indië-Nederland(以下モニュメント)は、16~19世紀のオランダ東インド会社による植民地支配時代の歴史を表現するもので、存続の是非を問う論争の焦点となってきた。またオランダにおける住宅も、当時の財貨の輸入に依って近代化を成し得たという背景をもつ。輸入された財貨の中でも特に室内装飾品は、人々の生活に深く浸透していることから、モニュメントと住宅に通底する歴史的背景に多様な解釈を与えるものとして捉えることができる。
このプロジェクトでは、収集した室内装飾品の目録において見出された関係性を、距離に対応させ、実体的な空間に移し替えることを手法として用いた。家具とその近くにある住宅、モニュメントの徹底的な観察から配置、スケール、ディテールを考えた。前景と背景の移り変わりを距離によって様々に変えることで、エキゾチックで美的なものと、卑近で普通なものの関係を、かき乱そうとした。
Profile
略歴
2017 – 2021 東京工業大学
2021 – 2022 東京工業大学大学院
2022 – 2023 TU Delft
2023 – 2024 東京工業大学大学院