同一性と差異に着目した反復表現

氏名
山田隆介
所属
東京理科大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
坂牛研究室
作品概要

人はある対象を認識する際、記憶にある似ているものと比較することでその特徴を相対的に認識しようとする。その際、比較する対象には必ず同一性と差異の2つの側面がある。それらは対になる概念でありながら相互に依存しあう関係でもある。差異によってその特徴を捉える一方で、その比較は同一性の存在によって成立する。空間を比較し認識する際も同様であると考える。空間の特徴をその単体のみで把握することは難しいが、反復された空間があれば、それらの比較によって大きさ、形、開口などを相対的に認識することができる。本研究では、反復という形態操作を通して、空間における同一性と差異の関係を捉えなおし、比較可能な空間について考える。
山梨県富士吉田市の斜面地の一角に住宅を提案する。居室となる単位空間を一辺2100mmの立方体とし、その単位を縦4×横4×4層と立体的に配列、展開する。また、室間に伸縮可能な緩衝空間を設け、そこに階段や設え、住宅の諸機能を収めた。この住宅において、各室の特徴はその室特有の大きさや形態によってではなく、他の空間との関係、即ち、隣室との距離、壁厚、隣室と接続するための開口、床レベル差といった隣室との相対的な差異によって規定される。日常的に繰り返される動作、営みの中で、今自分がいる空間と隣の空間の比較がされることで、その建築を使う人の空間への認識の仕方に変化を与えることができるのではないか。

作品イメージ

Profile

略歴

1997年 神奈川県川崎市生まれ

2021年 東京理科大学 工学部建築学科卒業

2024年 東京理科大学大学院 工学研究科 建築学専攻 修了