交配建築

- 既存佐藤家の遺伝子が引き継がれた新築住宅 -
氏名
佐藤優花
所属
東洋大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
建築設計研究室
作品概要

建て替えの時期にある私の実家は、家族の強い思い入れによって建て替えの話が進んでいない。私が、祖父の代から続くこの土地と家を引き継ぐとき、何ができるだろうか。
豊かなモノの集積である既存佐藤家を、モノを引き継ぐだけでなく、建築として引き継ぎながら記憶や思い入れと共に建て替わっていくことを目指した。本研究では、古材利用やリノベーションではなく、住まいがもつ遺伝子を観察と交配実験によって明らかにすることで新築の建築設計の手法に取り入れた。交配実験とは、観察だけでは得られない既存佐藤家が持つ潜在的な遺伝子を引き出すための実験で、他住宅と交配させた結果を観察することで成立する。この建築は、既存佐藤家と、こうして得られた遺伝子の知見を得た佐藤優花が交配することでできたネオ佐藤家である。できた空間は、既存佐藤家とは異なり、おおらかな全体構成でありつつも、懐かしさや時間、思い入れを感じる様相となっており、新築でありながらも既存佐藤家の思い入れを引き継いだ形となった。
この手法によって、建て替えや開発による記憶や思い入れ、時間の喪失への恐怖が和らぐことを期待する。思い入れを引き継ぎながら現代住宅を建てていける世界線があれば、単に保存されることとは別に、ある種の建物が長くあり続ける方法となると考える。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 東京都八王子市生まれ

2022年3月 東洋大学理工学部建築学科 卒業

2024年3月 東洋大学大学院理工学研究科建築学専攻 卒業