気積の存在と場の共存

氏名
榎本直子
所属
日本女子大学大学院
家政学研究科 住居学専攻
研究室
宮晶子研究室
作品概要

近年、空間から場・物へと建築における主軸が変わってきたといわれるように、空間と場には、空間が強くなると場が弱くなり、一方で場が強くなると空間が弱くなるという関係性があると考える。空間と場のどちらかではなく、どちらも存在することで豊かな建築になるのではないだろうか。本設計における空間とは、気積の存在のことを指し、気積の存在を認識することとは、気積にエッジがあるかのように感じる状態のことをいう。気積の存在を認識できる要素として、床スラブ部分の厚さが見えることや、床や天井の高さが異なることが挙げられる。また、建築が引き起こす場というのは、座る行為を引き起こしたり、視線を遮ったりする垂直方向に伸びる壁や床によって生まれると考える。これらの要素を用いて、錦糸公園横に様々な人々がふと立ち寄れる居場所となる図書館を設計する。床は空間を分節すると同時に繋がりの関係性を生み出すことで気積の存在を認識できる一方、壁は人間の行為を文節し、囲まれることで場を生み出す。床によって文節された空間において、建築によって生まれた場と、相互貫入する気積の存在によって、場同士に関係性が生まれ、気積の存在自体も場となる。建築全体に属する感覚を持つと同時にそれぞれの居場所を見つけて留まれる、建築自体が居場所になることを期待する。

作品イメージ

Profile

略歴

2022年 東海大学 工学部 建築学科 卒業

2024年 日本女子大学大学院 家政学研究科 住居学専攻 修了